お見舞いにいって芽生えた恋

スキー場で出会った彼

冬になると毎年仲間と一緒にスキーに出かけていた私。基本的には少人数でしたが、スキーの大会等にも出ていたため、大人数での合宿もしばしばありました。
スキー場で恋が芽生えることが多いと聞いてはいましたが、婚活のつもりで行くのはちょっと…と思っていた私。それに私は何年かやっていても、実際その様な関係になった人はいませんでした。しかし、そんな中でも気になる人が現れました。背が高くて笑顔が素敵で優しいSさんのことが急に気になって目で追う様になったり、近くに来るとドキドキする様になりました。

Sさんはスキーも上手くて目立つので、女子からは人気の存在でした。私も彼と近づきたいなと思ってもなかなか話す機会はでした。
ところが、練習で彼と同じチームになって、彼と一緒に行動する機会ができました。あまりスポーツの得意でなかった私が、少し遅れてしまった時や、普通に行動する時もSさんは私のことをすごく気にかけてくれているのが分かりました。
Sさんは私に特別な感情を持っていたわけではないというのも分かっていましたが、Sさんと近づけた事は私にとって大きな前進でした。

大会の当日に起こった悲劇

ある日、小さな大会があり、Sさんは1人でその大会に参加することになりました。
その大会にSさんが参加する事は知っていたのですが、特に応援に行く人もいなかったので、私も見に行く事はありませんでした。

夕方くらいになり、友人からSさんが怪我をしたという知らせが入りました。私はびっくりして即座にSさんへメールをしたところ、すぐに返事が返ってきました。なんと、自分で運転をして病院に向かっているとの事でした。小さな怪我ではなかったのですが、いつも頑張り屋のSさんなので、納得してしまいました。しばらくすると、またSさんからメールが入り、手術をする事が決まったとの知らせを受けました。私は心配のあまり、迷う間もなくその病院に向かっていました。

病室で芽生えた恋

新幹線で病院に向かった私は急いで駆けつけ、Sさんの入院している病室を見つけましたが、一瞬緊張して病院に入るのをためらってしまいました。自分の想いがSさんにすべてばれてしまっただろうと思い、恥ずかしい気持ちがあったためです。

ですがそんな事を言っている場合ではありません。勇気を出して病室に入ると、包帯を巻いたSさんと目がありました。Sさんは、包み込む様な優しい眼差しで私の事を見つめてきました。私は倒れそうな程にドキドキしながら、心配している事を伝えると、Sさんは状況を説明した上で、「大丈夫だよ。ありがとう。」と言いました。私は翌日仕事がありましたが、急遽有給をとって付き沿いをする事に決めました。

退院・そして交際へ

手術が終わり退院すると、Sさんはリハビリを始めました。
私も仕事があるので帰らなければならず、Sさんとは家も近くはなかったので、会えない毎日が続きましたが、連絡だけは毎日欠かしませんでした。

怪我は思ったよりも大きく、一生完全な元どおりにはならないという状態になってしまいました。本当に辛いと思うのですが、ほとんど弱音を吐く事もなく、毎日リハビリを続ける姿には本当に胸を打たれました。そんな努力の甲斐もあってか、驚異的な速さで回復をしたのと、Sさんの根性とで、シーズン内最後の大会でギリギリ復帰をする事ができたのです。

その大会では怪我をしていない時と変わりないくらいのいい成績を収め、私たちはその後2人きりでレストランで乾杯をしてお祝いをしました。そしてその日が私たちの付き合った記念日になりました。