人を好きになることの喜び

出会いも日々も高校生のときと変わらず…

高校生の頃からアルバイトしていた飲食店でオーナーご夫婦に気に入られ、なんとそのままそのお店に就職しました。
そのため、高校生の頃からライフスタイルがほとんど変わっていませんでした。

しかも女子高だった私は同級生の男の子と付き合うなんてまったくなく、そのまま気づけば29歳。
お店の場所柄、サラリーマンの方が多く来店されるので、声をかけてくれる人とお付き合いに発展することもありました。しかし、結婚までつながることはなく、29歳になってしまいました。

女子高卒だからなんて言い訳もむなしく友達の8割は結婚していき、私は焦るばかりでした。かといって今さら転職する勇気もなく…。

合コンに誘われて行くこともありましたがとくに良い出会いもなく、高校生からこの先いつまでこんな生活になるのかと考えると身震いする時さえもありました。

合コンやパーティーは苦手

そんな私の外見はというと、可もなく不可もなく…というよりは可はなく、不可ちょっとありです。特に美人でもない、可愛いわけでもない、スタイルも良くなく小柄の中肉中背です。ですので、それなりにしゃべり方や表情の作り方を研究して、男性にも魅力的に思ってもらえる女性であるよう気を付けてきました。

だから、男性と2人きりになればそれなりに相手といい感じになることもあったのですが、合コンなどの集団になると研究した成果を発揮することができず、後悔する日々でした。
このメンバーの中で私が一番イケてないな、この男性は私よりあの子の事を狙いたいんだろうななど、後ろ向きに考えてしまい、心の底から出会いを楽しむということができず、合コンからは遠のいていってしまいました。

そして29歳、お店のお客さんから誘われることもなくなってきて、出会いが欲しいなぁ～と思ってももう遅い。お店に出勤して毎日変わらぬ接客をして決まった時間に帰る。なんだかんだと自分の容姿に自信が持てず合コンからも遠ざかり、こんな毎日では婚期を逃がす、イヤ、もう逃してる。そう考えたら怖くなりました。

一対一のお見合いであれば大丈夫かも！

もうこれは、本気で婚活するしかない！と思いました。
ですが、合コンや婚活パーティーも苦手、良い人を見つける自信もない、そんな時頭をよぎったのが、昔ながらの結婚相談所でした。

自分の好みや希望を担当の方に話して紹介していただき、何人もの中の1人でなく私だけを見てもらえる、そんなシステムを望みました。
最近はカジュアルなパーティーやネットでの出会いが多いので、そんな昔ながらのシステムあるのかななんて思いながら探していたら、自分の考えていた結婚相談所がありました。そこは本当に理想通りのシステムで、担当の方に希望を伝えるとコンピューターではなく人の力で探してくれるんです。

そこに入会し、何人かの人と会いました。どの人と会う時も今まで自分を少しでも魅力的に見せようと研究してきた私なりの技術を持ってお見合いの場を乗り切りました。
相手も私を気に入ってくれてるかもと思える人もいましたが、いまいちピンときませんでした。

一対一で本領発揮！

さらにお見合いは続き、出会ったその彼は33歳でとっても穏やかで優しい雰囲気。恋愛にはちょっと物足りないさはあるのかもしれませんが、私にはなんだか素敵に見えました。可愛らしく可愛らしくを常に意識してきた私、もちろん彼の前でもそれを意識し続けました。ですが、彼がコーヒーに入れるクリープをこぼした瞬間からそれは消えました。

クリープをこぼしたことに動揺した彼は「すいません」と言うばかりで、汚れたズボンを拭こうとしないんです。その時この人緊張してるんだと分かりました。すると母性本能ですかね、会ったばかりだというのに「シミになるから！」と自分のハンカチで彼の股間あたりを恥じらいもなく叩くように拭き取ってしまいました。で、我に返ってすごく恥ずかしくなってしまって…。すると彼が笑いながら「いや、こちらこそ、なんか緊張してるうえに…よりによってクリープをこぼしてしまって」と言いました。

そこからは緊張も解け、和やかに話すことができました。実はお互いブラックコーヒーが飲めなかったようで、どんどん共通点も見つかり、他愛ない話がとても楽しく感じられました。
そして彼がその流れで「じゃあ今度はお互い好きな物を頼んで飲みたいもの、食べたいものを食べましょう」と誘ってくれたんです！

自分をキレイと思ってくれる人と過ごす時間はホントに幸せ

その彼と次にも会うことが決まり、今度はイタリアンに行きました。イタリアンのなかでも家庭的なお店に連れていってもらい、緊張せずに2人で料理とワインを楽しむことができました。

私は勇気を出して自分の第一印象はどうだったか聞いてみました。すると彼が人生で一度も言われたことのない言葉を言ってくれたんです。

「キレイだなぁと思ったら、そこから緊張しっぱなしだったよ」と。

私がキレイだからという理由で緊張した人なんて今までいない…でもこの人はそう思ってくれるんだ。例え嘘だとしても、そんな風に気遣ってくれるんだと思い、好きになりました。たったそれだけで好きになりました。

彼もお酒が入ったせいか、初めて会った日の私の印象をたくさん話してくれました。あの時着ていたワンピースのことや、クリープを拭いてくれたこと、気取らない素敵な女性だと思った、高校生の時のバイト先に就職するなんてよほど人柄を認められたんだろうねなど、とにかく私のことを理解しようとしてくれていたんだなと思いました。それでさらに好きになってしまいました。

情熱的な何かや見た目のカッコよさなどなくてもこんなにも簡単に人を好きになるものだなと自分でもびっくりしました。
お酒の力をかりて次の約束も取り付けたので、このまま結婚まで進むといいなと思っています。